015 「無理です!」とは言わないようにしています。

「350人の前でプレゼンして、1人も反対意見が出なかったらOKですよ!」

正直、無理だと思いました。

随分前の話ですが、当時お世話になった会社でHP制作の仕事をさせていただいている時、1年半以上掛けた事前準備がようやく実を結び最後の詰め段階になりました。クライアントは全国チェーンの企業様で、私が提案したのは全店舗で個別のLP(ランディングページ)とオリジナルブログを開設するという大きな企画でした。

試験的に3カ所で開設したLPがソコソコの実績を収め、ならば全国でも導入してもらおうという計画です。内容的には自信がありましたし、金額的にもかなり譲歩したもの。とはいえ試作の100倍以上のボリュームですので、クライアント様にとってもリスクはあります。

この提案に先方の社長様が出してきた条件が冒頭の言葉でした。全国オーナー様が集う会議で30分時間を与えるので、そこでプレゼンをして誰も文句を言わなければ企画を採用するとのこと。これはなかなか厳しい!

尻込みする私を置いて、お世話になっていた会社の社長は迷わず快諾。私はかなりビビったのですが、今思えば貴重な全国会議で時間を頂けるということで既にクライアント様のハラは決まっていたのかもしれません。また、そういう場で反対意見は出しにくいものですし。とはいえ、会議への多くの参加者様は企業経営者がほとんど。かなりリスキーですが、切り抜けないと先はないのです。

かなりの事前準備をして挑んだプレゼン。私は担当営業とはいえ、アシスタント的立場でした。そして当日、350人の前に立った社長は事前に打ち合わせた段取りをまったく無視。いきなりアドリブで自分の経営者としての失敗談を始めたのです。これには驚きました。ハナシが違う!しかし、多くの経営者様にとってそれはかなり共感できるような内容だったのです。

結局、肝心の企画内容は事前準備の半分ほどに。結果は大成功でした。プレゼン終了後はちょうど休憩時間だったのですが、そこで聴講されていた多くの経営者様が我々のところにいらっしゃってプレゼン内容を称賛されたのです。しかも、この企画とは関係のない他の事業のホームページ制作に関する相談までいただくことができまして。まるでドラマで見るような胸のすく場面。私は己の不見識とビビったこと、そして何よりも「無理だ」と思い込んでいた自分を心から恥じました。

何事も無理だとバッサリ決め付けず、まずは取り組んでみるべき。そして、多角的な考察の上に考察を重ねるべき。

以来、お客様から難題を突き付けられたとしても(理不尽とは違いますので念のためw)、無理だとは言わず・思わず、まずはしっかり考えてみるようにしました。考えに考えれば打開策は見つかるかもしれませんし、たとえ無理だとしても別角度からの提案に行きつくかもしれません。諦めてはダメなのです。多くの聴衆の前でいきなりアドリブはなかなか高いハードルですが、これは経験の成せる業でしょう。私はまだまだ勉強不足ですねー。

くだんの仕事につきましては無事クライアント様からOKをいただき受注が決定しました。今でも当時の現場担当者様とは仲良くお付き合いさせて頂いています(お互い退職しましたがw)。しかしこの話は無事終わらずこの後に社内外で様々な問題が次々に発生。この仕事が実現するまでにはさらに半年ほどの紆余曲折があるのですが、それはまた別の機会に。


ヒントルームLABO 代表・岡橋秀樹
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