069 中小企業の社員は、本当に入りたくてその会社に就職した訳ではない。

「経営者の目的の順位は1位が仕事ですが、スタッフは1位が家庭で2位が仕事。この埋まらないギャップを配慮しないと経営はできないし、スタッフとのチームワークも成り立ちません」

先日、ある経営者さんとのミーティングでこのような達観とも嘆きとも諦めとも取れる話をいただきました。自分が従業員だった頃を思えば、確かにその通りです。

私の尊敬する経営者でソフトブレーン創始者宋文洲さんが著書で「中小企業の社員は、本当に入りたくてその会社に就職した訳ではない」というニュアンスのことを書いておられました。中小企業のスタッフは条件さえ良ければいつでも違う会社に移籍したいのです。そのことを経営者は肝に銘じておくべきであると。

最近、離職率の非常に高い某業界の求人広告に関する企画を構築中です。求人広告ビジネスに関わっていた仕事仲間に現場の生々しい話を聞くと、例えは悪いですがまるでキツネとタヌキの化かし合いのようなものではないかと。

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この企画に参加するべく、国が推進する新しい時代の「健康経営」について学ばせていただく機会に恵まれました。日本は欧米に比べ人事制度などのスキームが20年以上遅れているなと痛感しています。このタイムラグは昔からなかなか変わりません。実際、最近脚光を浴びている健康経営についてもアメリカでその概念が提唱され始めたのは1992年。これからの時代、かたくなに旧態依然としたスタイルを変えず、これが日本の仕事の現場だからなどと時代の趨勢を無視して開き直る(もしくは全く気付いてもいない)経営者や企業風土は淘汰されていくことでしょう。

日本における個人と仕事の在り方は、2年前に売れたビジネス書の「LIFE SHIFT」で人生100年時代の働き方改革が話題となり、ようやくダブルワークやトリプルワークが一部で認められる時代になってきたかも、といったところでしょうか。

 

ヒントルームLABO 代表・岡橋秀樹
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