289 時代の狭間で悩むお寺の跡継ぎに思ったこと。

「オレの目の黒いうちはそんなことはさせない!」

私が今の仕事を手掛ける前でホームページ制作の仕事がメインだった5年以上前の話です。お付き合いのあった証券会社からのご紹介であるお寺にお邪魔して、副住職さんとミーティングする機会がありました。

f:id:hintroom:20190126230651j:plain

副住職はお寺のホームページがなく、SNSの台頭もあり時流にかなり乗り遅れているのを如実に感じておられるため、新情報を知りたいとのことでご縁をいただいたのです。打ち合わせは終始和やかなムードで進み、「やはり岡橋さんのおっしゃる通りですね。制作するにはどのようにすればいいですか?」とかなり前向きで具体的な内容に踏み込み始めまして。

2時間近く経過した頃でしょうか。いきなり玄関の方でバタバタと誰かが来た雰囲気の後、廊下をスタスタと歩く音がして、私たちが打ち合わせをしていた和室のふすまがガラッと開きました。副住職のお父様である住職です。住職は私の方を一瞥するや「お前、誰だ?」。

確かにその時の私は初めてお邪魔したビジネスマンで、住職には面識がありません。しかし、とはいえ副住職に通されてその部屋に入った者です。いわばその時点ではお客様なのかどうかも分からない状態のはず。唖然とする気持ちを抑えて、自己紹介をさせてもらいました。ホームページ制作の打ち合わせを依頼されてやってきましたと。

すると返ってきたのは冒頭の言葉。

「ホームページなど活用を考えていない」「ブログやツイッターなどもするつもりはない」「今の檀家さんさえ守っていけばそれで構わない」とのこと。取りつく島もないイキオイです。web関係で詐欺に遭ったことでもあるのではないかと思うほどでした。

しかし、そこでハイそうですかと引き下がる訳にもいかず、これまでの経緯そして時代のニーズや活用法について丁寧にお話させていただきました。

私の話は私の胡散臭い見た目とは違うと感じていただけたのか、しばらく話すうちに住職の態度がやや軟化し、「何とかしたほうがいいかもしれないけど」「今後はどうなるか分からないけど」「ネットの活用と現実とのバランスを取った方がいいのかもしれないけど」と若干の迷いも吐露。とはいえ「自分の代では一切やらない」ことにはこだわっておられました。副住職がトップに立った、そのときに考えればいいとのことです。その間、副住職は気まずそうな表情で話を神妙に聞いておられるばかりでした。

お寺の方針や親子関係に口を挟むつもりはありませんので、最終的には「何かご用命があればいつでもどうぞ」とにこやかに、そして潔く打ち合わせを終えたのですが、正直に申し上げれば副住職がとても気の毒になりまして。

トップに立つ日がいつになるのか分かりませんが、住職はおそらく当時60歳代前半、溌剌としておられましたので、おそらくまだしばらく先の事でしょう。確かにその時は副住職がご自由になさればいいのではないかと。が、その時には時流に相当遅れる可能性のではないでしょうか。その時に副住職が抱えるであろうご苦労について、住職はどう考えておられるのかなぁと思わずにはいられませんでした。

時代の狭間で悩むお寺とその跡継ぎの姿に、私も複雑な気持ちになった次第です。最後、副住職とあいさつするときに「お困りの事があれば何でも相談に乗りますので」とこっそり耳打ちしてきました。あれから5年、まだご連絡はありません。きっとまだ住職は元気でおられることでしょう。でも少し時間が経ったので、機会あれば現状をお話してみたいものです。

 

#お寺集客コンサルタント
#トリプルXプロジェクト
#インスタグラム販促
#ネット広告
#ホームページ制作
#Googleマイビジネス
#Googleウェブサイト
#Googleストリートビュー

 

#ヒントルームLABO 代表・岡橋秀樹
https://twitter.com/hintroom

https://www.facebook.com/hintroom/